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”概念の獲得”

先日、こども達と水遊びをしていると、スマホから津波警報のアラートがなりました。地震速報かと思い避難指示を出したところ、素早く避難行動をとってくれたこども達でした。いつ大地震や火事が起こるかわからない中、指示に応じて的確に避難行動をとってくれるのは本当に頼もしいです。

いよいよ7月も終わりを迎え、これで年度の3分の1が終了しました。日々こども達の成長の早さを実感し、発想の豊かさに感心するとともに、残された時間で園として、一人の職員として、一人の大人として、こども達になにができるのだろうかとわくわくしている私です。

ぜひ、保護者の皆様も巻き込んでわくわくしたいなと思っております。お付き合いください(^^♪

今月も写真のあとに保育・教育についてだらだらと書き連ねるのですが、先日あったエピソードを踏まえてしゃべるのでテーマが先月と若干被ります。ご了承ください。

今月もありがとうございました。来月もよろしくお願いいたします!

園長

 

 

 

 

 

先日、ミニキャンプの行事内で行うキャンプファイヤーの練習を見に行きました。営火長や火の守達が「火がついている体(てい)の棒」を持って練習をしているのですが、振り回してみたり、人に向けてみたり、落ち着かない様子でした。キャンプファイヤー中も、炎が燃え上がっている(であろう)場所を突っ切ってしまったり、近づいてみたりという状態でした。

私は何も言わず見ていたのですが、こども達の様子から素直に、「たぶん、火を見たことがないんだろうな」と感じました。練習が終わり、こども達に向かって「みんな、火みたことある?」と尋ねたところ、火を見たことがある子は半分もいませんでした。見たことあると言っている子の中にも、「テレビでみたことある」という子が混じっていたので、実際の火を目の当たりにしたことのある子というのは、ごく一部だったのかもしれません。

キャンプやバーベキューをする世帯ばかりじゃありませんし、野焼きも規制が厳しくなりましたし、キッチンもIHになっていたり、こどもが入ってこないように仕切りがあったり等々、こども達が見る機会のある火と言えば、お誕生日会のろうそくぐらいかもしれませんから、火を見たことない子がたくさんいるのも当然だよな、と思いました。

概念の獲得において、実体験に勝るものはありません。というわけで、担任の先生に協力してもらい、火を見る時間を取り入れてみることにしました。なんてことのないただ園庭の中心で薪を組み、火をつけるだけの活動です。

ただそれだけのことですが、明確に火や、燃えるということの概念がこども達の内側から形成されていくわけです。ぱちぱちと音を立てて燃えること、火花が散る事、煙が上に登っていくこと、煙が目に入ると沁みること、火に近づくと暑い(熱い)こと、風向きで煙や熱が向かう方向が変わること、燃えるともろくなって崩れること、燃えた物はもとには戻らないこと等々、あらゆる要素が存在しています。

これまでに避難訓練で、火事のときのお約束として「おかしも」とか、ハンカチで口を覆って姿勢を低くして…とか言っていろいろと訓練してきていましたが、そもそも火や、燃えるということに対する概念をこども達は持っていなかったわけですから、「聞かされて覚えさせられてやらされる」ものだったということです。とても反省させられました。命を守るための避難訓練なので、やらないよりはましだと思いますが、火に限らず、概念を獲得していて意味が分かってとっている行動と、ただの形式的な行動との間には大きな違いがあります。

先月取り上げた崖の例もそうですが、概念を獲得しているかどうかによって、まわりの人が話している言葉や、本やテレビの記述・映像などから感じる情報の豊かさが全く異なってくるわけです。当然、そこから自分が感じることや、自分がとる行動やその質等も大きく変容してきます。

世の中のあらゆる事象に対する概念や意味を、こどもの内側から形成していくという視点を重視し、保育に努めていかなければならないと改めて感じさせてくれた出来事でした。