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”よく噛んで食べてほしい。”

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は、保護者の皆様や地域の皆様方に、大変お世話になりました。ありがとうございました。

本年もよりより園、よりよい保育を目指して邁進してまいりますので、変わらぬご支援のほど、よろしくお願いいたします。

昨年末に、保育に関する記事を投稿し損ねてしまったので、今月は2本投稿いたします。今年もコツコツ地道に執筆しますので、ご興味のある方はぜひご覧ください(^^♪

園長

 

 

 

 

 

 

 

 

「充実した食環境を」

私たちがほぼ毎日必ず行うことのひとつに、「食事」があります。

食事に関して、「よく噛んで食べることが大切」ということは、多くの方が耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 

噛むこと(咀嚼)は、単に食べ物を飲み込むための行為ではありません。

こどもの身体的・認知的・情緒的な発達に深く関わる、とても重要な行為なのです。

 

例えば、噛むことで脳の血流が増え、特に前頭前野が活性化する可能性が示唆されています。

前頭前野は、注意・集中、感情のコントロールなどを司る部位で、学習や対人関係、日常生活のあらゆる場面に関係しています。

 

また、一定のリズムで噛むことは副交感神経を優位にし、心身を落ち着かせる効果があるとも言われています。

ガムを噛むことで緊張や不安が和らぐ可能性が示されており、スポーツ選手が集中力を高めるためにガムを噛んでいる姿を目にすることもありますね。

 

さらに、顎の骨や口周りの筋肉が発達することで、

・歯並びが悪くなりにくい

・発音が明瞭になりやすい

・姿勢が整いやすい

といった効果もあるとされ、古くから「咀嚼の大切さ」は言い伝えられてきました。

(エビデンスレベルはまちまちですが、「卑弥呼の歯がいーぜ」という語呂合わせで咀嚼の効果が説明されることもあります。)

 

しかしながら、現代は「よく噛んで食べる」習慣が育ちにくい環境でもあります。

加工食品やファストフード、柔らかい食事が増え、短時間で食事を済ませたり、「ながら食べ」をする機会も多くなりました。

 

国が実施している「乳幼児栄養調査」を見てみると、

昭和60年:1~4歳未満で「よく噛まない」子が10.2%

平成7年:12.6%

平成17年:20.3%

と、「よく噛まない」子の割合が年々増加していることがわかります。

 

平成27年以降は調査方法や集計方法が変わっているため単純な比較はできませんが、

離乳食期の0~2歳児で丸のみをしている子が約3割、

2~3歳未満でも「よく噛まない」子が16%程度いると報告されています。

 

すなわち、現代においてもおおよそ3~5人に1人は、食べ物を十分に噛まずに飲み込んでしまう傾向があると考えられます。

(現在、令和7年調査が行われており、結果は来年9月頃に公表予定です。最新情報については、改めてお知らせしたいと思います。)

 

では、「よく噛んで食べる」習慣は、どのように身につくのでしょうか。

私は、乳幼児期からの充実した食体験の積み重ねが、ひとつの大きな鍵になると考えています。

一般に咀嚼の仕方や食べ方は、繰り返しの経験によって習慣として定着していく行動だと考えられています。

特に乳幼児期は、神経系や運動機能が発達の途中にあり、日常的な行動が身につきやすい時期です。

 

最近、乳幼児の食事で少し気になっているのが、のどに詰まらせることを心配するあまり、過剰に細かく・柔らかくしすぎているケースです。

細かくしすぎると噛む必要がなくなり、丸のみの習慣がつきやすくなります。

また、食材の形がわからないことで、「何を食べているのか」がこども自身に伝わりにくくなるという側面もあります。

 

「何を食べているかわからない」という状態が毎食のように繰り返されることも、「よく噛まない」食べ方につながる可能性があります。

なぜなら、研究や調査において、「食への興味・関心が高い」ことと「よく噛む」ことには関連があることも示されているからです。

刻み過ぎて食材が分かりにくい状態は、単に丸のみを助長するだけでなく、食への関心が育ちにくいという方向性からも、咀嚼する習慣の形成を阻害する要因になってしまう可能性もあるのです。

 

咀嚼習慣は、離乳食開始から、数年かけて形成されます。

離乳食期や、まだ幼い年代のお子さまに取り組んでほしいことは、手づかみ食べ・かじりとりです。

1.前歯で一口量をかじり取る

2.奥歯で噛み砕く

3.舌でまとめて飲み込む

こうした一連の動きを離乳食期から繰り返すことで、適切な一口量や噛み方、口周りの筋肉の使い方を、こどもは自然と身につけていきます。また、手づかみ食べでは、スプーン等を介さず、直に手で触れることにより、食材の温度、かたさ、触感などを指や掌から感じ取っていきます。これらの経験により、食材や料理のイメージが豊かに形作られていくことになります。

 

「噛む力を育てる献立や取り組みを考えるのは難しい」

「外食に頼らざるを得ない」

そんなご家庭も多いと思います。でしたら、こんなアプローチもあります。

 

実は、

・朝食を誰かと一緒に食べる

・家族で会話をする時間がある

こうした環境にあるこどもほど、「よく噛んで食べる」傾向があることもわかっています。

誰かと一緒に食べたり、落ち着いた雰囲気の中で食事をしたりする経験は、食への肯定的な気持ちを育てる大切な要素です。

 

園では、日々の給食や野菜栽培、調理体験、食に関する行事などを通して、こどもたちの食に対する前向きな気持ちを育んでいきます。

 

ご家庭でも、忙しい日々の中ではありますが、よりよい咀嚼習慣を身につけるためのアプローチをしてみませんか。食事内容を見直したり、同じ食卓で同じ時間に食事をとるようにしたり、家族団らんの時間をできる限り確保したりするなど、方法はなんでも構いません。毎日、毎食でなくても大丈夫です。少しずつ積み重ねていきましょう。それが、お子さまの将来の健康につながります。

 

食の悩みは、ひとりで抱え込まなくて大丈夫です

先述の「乳幼児栄養調査」では、約8割の保護者がこどもの食事について悩みを抱えていることもわかっています。

5人に4人が、同じように悩んでいるということです。悩みがあるのは当たり前です。

 

食事のことで気になることがあれば、どうぞお気軽に、私たち保育者や栄養士等にご相談くださいね。

 

※ちなみに、今回は「かまない」子の話題ですが、「乳幼児栄養調査」では、平成17年に「口から出す」という質問項目が追加され、27年には「食べ物を口にためる」という項目が追加されていることから、「かめない」「飲み込めない」子の存在も徐々に認識されてきているものと考えられます。この話は、またいつか。