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日別アーカイブ: 2025年8月31日

”転ばぬ先の杖はいらない…?”

8月も最後の週となり、いよいよプール納めでした。

写真は取り損ねてしまったのですが、8月に入ってからたまにプールに顔を出し、浮力を体験する活動をしてみたり、プールの水を汲んでバケツまで移す活動をしてみたりと、いろいろな活動を提案してみました。

水を汲む活動では、「園庭にあるものなんでも使っていいよ」と自由に道具を選んでもらうと、スコップや湯切りのザル、バケツ2つ、ペットボトルやトロッコ等、多種多様な用具を持ってくる子がいました。

それぞれの方法の中で、用具の形状による特性や水の特性、協力の仕方(役割分担、バケツリレー、複数人で1つの大きな容器を使って運ぶ等)など、いろいろな学びがありそうだなと感じ、もっとこの先を見てみたいと思いましたが、プールが終わってしまいました…。まだまだ暑い日は続くので、プールじゃない形で発展の形を模索したいですね。

今月も、長々と保育に関する情報発信をしていますので、ご興味のある方は写真のあとの文もお読みいただけると嬉しいです(^^♪

 

 

 

 

 

 

先日、鹿屋市保育会の園長研修があり、研修後に他園の先生方と食事をしました。その中で、ある若い園長先生(私よりは年上ですが…)が、「最近は、ケガをすることに対して肯定的な保護者の方が増えてきましたよね。」とお話をされていました。同席した色々な園の話を聞くと、ひと昔前は、かすり傷一つで大きな騒動になることもあったようで、木登りができないように園庭の木を切り倒したり、遊具を撤去したりと、いろいろと対策をされていたようです。

こどものケガに対して過剰に反応し、リスクから遠ざけようと躍起になるのは、望ましいことではありません。

遊びには、危険性そのものが遊びの中に存在していて、危険を除去できないものも多く存在します。走って遊んでいれば転ぶ可能性があり、平均台で遊んでいれば落下する危険性があるのです。リスクそのものが魅力という遊びも存在します。そのため、遊びが生活の中心である以上、怪我を全くしないということはほとんど不可能なのです。

当園では、“学びになるケガは恐れず”に、保育をしていこうという方針で、日々こども達とかかわっています。学びにならない怪我とは、取り返しのつかない怪我です。一般的に、ハザードと呼ばれる危険が誘引するものが多いです。ハザードとは、「遊びの価値とは関係のないところで事故を発生させる恐れのある危険性」、「こどもが予測できず、対処が不可能な危険性」などと言われています。これらについて全部話すと長くなってしまうので、興味のある方は調べてみてください。

私が2年半前に園に来た時、第二園庭の吊り輪は紐で縛られ、使用できない状態になっていました。ある先生に理由を尋ねたら、「こども達が吊り輪に気付かずに通過して、頭を打つから」、「落ちたら危ないから」という話でした。なんだ、そんなことかと思って、すぐに紐を切り、吊り輪を下ろす時はマットを敷くようにしました。それ以来通過時に頭を打つ子はいません。吊り輪からの落下に伴うリスクの低減にもなりますし、「マットが出ているときは、吊り輪が下りている」という情報にもなりますから、迂回したり、気を付けて通ったりできるわけです。「マットに乗るのは一人ずつだよ」と視覚的な情報とともにルールも提示でき、人的なハザードも一つ防げるわけです。やみくもに禁止、禁止ではなく、適切なリスクアセスメントを行い、こどもの育ちの機会を保証していく必要があります。

 

また、昨年度の寒い冬のある日は、お散歩に行った際、道路上に氷が張っている場所がありました。ある先生が「ここ凍ってるから、近づかないように」と指示を出し、こどもを迂回させていました。私は、もったいないなと思い、氷に近づき「氷だよ、ほら、ツルツル滑るね~。」と足でツルツルとやってみせました。すると、こども達も興味をもち、足でツルツルと真似をするわけです。そこに伴うリスクは把握したうえで、安全な関わり方の範囲で体験をするということも大事です。砂を滑るのと、靴下で床を滑るのと、氷を滑るのは、”滑る”という言葉は同じですが、感覚は全然違います。氷が滑るという概念と感覚、路面が凍結することがあるという事象を直接体験することによって、その後の予測・対処の質も深まっていくわけです。危険を遠ざけるだけでは、学びを後回しにしているだけに過ぎません。

転ばぬ先の杖でいろいろと口を出し、手を貸しとやってしまいがちですが、こどもにとって、つまずかないことは全く重要ではありませんし、つまずかないように大人が手をまわし過ぎることで、遊びの選択肢や、育ちの機会を奪うことにつながっていってしまうのです。

お子さまのケガについて、それがハザードによるものでなければ、挑戦した結果だ、また一つ体験を重ねたんだというようなポジティブなとらえ方で、それも育ちの過程の一つとして、お子さまと対話をしていただけると学びが深まるのではないかと思います。

 

今月もありがとうございました。来月もよろしくお願いいたします!

園長

9月の園だより、献立・給食だよりの公開

9月の園だよりと、献立・給食だよりを公開いたします。

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保護中: 第5回写真販売展示室(8月撮影分)の公開

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